アメリカ人からメールの返事をもらうには

 

メールは「来るもの」ではなく「来させるもの」

 「アメリカ人はメールを無視するけれど、どうしたらよいでしょうか」という相談をしばしば受けます。出しても出しても返事が来ないのだそうです。


以前相談にのった一人は東京の企業オーナーでした。留学経験者で英語力のある彼女は、面談申し込みのためにボストンの名門大学の教授へ自ら英語でメールを送っていましたが、何度連絡してもさっぱり反応がないとのこと。そこで、私の方でメールを丸ごと書き直し、それを彼女が教授に送りました。24時間以内に快いお返事が返ってきたそうです。


「どこが違うんですかね?」

お手伝いした効果に驚かれて、こう聞かれることがよくあります。


まず第一の誤解は、受け取った側が相談者のメールに気づいていないということです。返信がないと相手に無視されていると思いがちですが、たいていは気づいていない、あるいは見たけれどすぐに忘れてしまったというケースであると思われます。これは、

1)日本語的な書き方はネイティブスピーカーの注意を喚起しにくいこと

2)英語脳にピンとくる表現や構成書かれていないこと

が大きな原因です。


一日に何百通ものメールを受け取る人には、なおさら上記の点に留意して書く必要があります。

実際、私も記者時代はいきなり(アメリカ人プロフェッショナルから)電話で「お送りしたメールをご覧いただけましたか?」と聞かれ、「そんなものもらってない」と戸惑うことは日常茶飯事でした。正直なところ、もらってないというより、もらったことを覚えているはずがない、覚えていると期待している方がどうかしているという気持ちが先だっていました。アメリカ人が書いたメールですらひっかからないわけですから、英語が母国語でない人が書いたメールはなおさら目に留まりません。


先ほどお話しした教授も、例の企業オーナーによると、彼女から以前にメールをもらっていたと全く気付いていない気配だったそうです。

記者の仕事は連絡した相手からの返信にかかっている部分が大変大きいですが、私はこれは当然「来るもの」と思ったことはありません。どう「来させる」か、自分のスキルにかかっています。


忙しい人はメールの題目を見た瞬間に、「自分にとって開ける価値があるか」と自動的に自分に問いかけ、ふるいにかけます。自分にとって利益がなければ、あるいは利害のレベルが低ければ、優先順位が落ちて、メールを受け取った記憶もそれに比例して薄らぎます。


自分に関係のないメールは、スパムでなくても沢山あります。例えば記者宛てのプレスリリースにしても、マサチューセッツ州の政治担当記者にカリフォルニア州の作家が出した本に関する情報を送ってくるとか、深く考えずに手当たり次第に発信してくるPR会社が多いのもアメリカの特徴です。


自分のメールに気づいてもらうコツは、

  • 「受け取る側にこのメールを読む利点があるか」を考える

  • その利点をメールの題目(サブジェクトライン)を一目瞭然な表現で盛り込む

です。


題目(サブジェクトライン)に入れるセリフは、「州議員の汚職」でも「今日だけ無料ドーナッツ」でも、何でも良いんです。とにかく、メールを開けて何が得られるのかが伝わればそれで充分なのです。


時々メールを目立たせたいがために緊急マーク「!」を付け、文中で「受理した確認の返信を送ってください」と書いてくる人がいます。仕事の関係者であれば返信しますが、それでもいやいやの返信です。「優先順位は受取人が決めるもの」という思いがあるからです。送り主の仕事は、受取人が優先順位を判断できる材料を完結に提供することなのです。

 

まとめです。

  • メールを送る時は、自分にとってではなく、相手にとってなぜそのメールが大切なのかを考えましょう。

  • 大切な理由をメールのサブジェクトラインに入れましょう。(例: Tomorrow's meeting ← あなたが出るミーティングについてのメールですから、見ないと大変ですよ~、ということです。)

  •  メールの本文は、言いたいことが手短に伝わるように結論から先に書きましょう。ここでも、相手への利点を早い段階で説明しましょう。

  • 返信がない時は電話で、あるいはメールでフォローアップしましょう。無視しているわけではないことを肝に銘じ、憤慨せずにフレンドリーにはなしかけましょう。

具体的にどうすれば良いかわからない場合には、お気軽にご相談ください。The Pitch Roomではこうした英語コミュニケーションの代行管理、コーチングも行っておいます。


連絡先: sato☆pitchrm.com (☆を@に変えてください。)



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